研究室での過ごし方
大学の面白さは「自分」と「自由」がキーワード(松戸)

松戸 研究のプロセスを大まかに分類すると、実験、分析、ディスカッション、そしてそれらを発表できる形にまとめるという4つの段階があります。ですので、その日によってやらなければならないことをやっています。理想は9時くらいに登校して、4つのうちのどれかを丸一日をやって、5時くらいに帰宅する準備を進めて、というスケジュールですが、あくまで理想です(笑)。アルバイトをやっていた時は、6時からシフトに入る、というのが平均的な過ごし方でした。
吉田 自分の研究室の場合、10時からお昼ぐらいに来る人が多いです。研究室に来たら、実験するための試料の準備や、装置を使って実験します。授業から帰ってきた先生をつかまえて、質問をすることもあります。時間割が決まっている高校生までの環境と違い、いつ何をするかは決まっていません。好きな時に好きなように実験して、時にはなかなかうまく行かず夜遅くなることもあります。そういう時は研究室の友達と一緒にご飯に行ったり、日中に仙台の七夕まつりを見に行ったりもします。しっかり結果を出すことができれば、自分の好きなペースでできる環境です。
田中 実験は個人でできるものが多いので、好きな時間に来て、自分のペースで実験をして帰宅することが多いです。自分の場合は、午前中に実験やその準備をしたり、調べものをしたり、発表スライドを作ったりします。お昼を食べたらまた実験などをして、遅くなる前に自分は家に帰ります。家では家事をやらないといけないので、自分はかなり健全なタイムスケジュールで動いていると自負しています。
大学の面白いところ
松戸 大学の面白さは「自分」と「自由」がキーワードだと思います。例えば自分のやりたい研究を選ぶ、研究室を選ぶ、好きな科目を選択して授業を受ける。研究や勉強以外にも、アルバイトのために時間を抑えたり、サークルや部活を頑張ったり。自分のやりたいたくさんの選択肢からどれを選んだとしても、東北大学には支えてくれる機関とか、それを担当してくれる人、応援してくれる環境が整っていると感じます。挑戦することにすごく適した場所が大学だと思いますし、特に東北大学はそうした環境が整っていると思います。
吉田 東北大学のように規模が大きい大学は、それだけで面白いと思っています。例えば東北大には学生が1.8万人ぐらいいるので、それだけいろんな人と関われる機会があります。加えて、OB訪問や、研究室に遊びに来る先輩との出会いもあるので、大学にいるだけで人との繋がりが幅広く持てることは何よりの面白みを感じます。また研究設備が整っているのも大きな大学ならではです。私が以前いた高専もそれなりに設備は整っていて、自由に実験できる環境にはありましたが、その設備を維持する費用や人の規模が大学では全然違います。サークル活動などの学生生活も研究活動も、とにかく幅広く自由にできることが大学の魅力なのかなと思います。
研究は面白い!アイデアを実現した時の達成感があります(田中)

田中 学部1年から3年生までは、高校時代と変わった感じはあまりありませんでした。授業を受けて新しい知識を手に入れる、ということが多かったので、その時期の楽しみは人との関わりとか勉強以外のところにあることが多いと思います。ただ、学部4年生から今の修士になってからは、何が面白いかといえばやっぱり研究です。研究は今まで誰もやっていないことをやろうとすることです。今、自分がやっていること、思いついたアイディアを実現できたことは、この世界で俺が初めてかもしれない。あくまで初めてかもしれないだけなのですが、何かを思いついた時、実現した時というのは言葉にし難い、達成感に近い喜びがあります。
卒業後の進路
松戸 私は修士課程で卒業して就職します。就職先は決まっていて、石油を精製する工場や、鉄道、病院を建設する企業です。最初は下積みで現場に行ったり、海外で働いたりして、最終的にはプロジェクトマネージメントをしたいと考えています。会社の技術者として働くだけでなく、MBAを取得して経営に関わる仕事もやってみたいです。今立てているキャリアプランがうまくいくように頑張りたいと思います。

吉田 私は修士課程で卒業して、鉄などの金属を扱っている企業に就職したいと考えています。アカデミックな研究というよりは、企業の中で実物とか現場とかに近いところにいて、より社会に近いところで研究をしてみたいと思っています。
田中 自分の場合、その時「行きたいな」って思った進路を行くと決めています。それが多分、その時の自分にとって一番いい選択だと思っているので。今、自分にとって一番可能性があるのは博士課程(後期)進学です。東北大も国も、博士人材を増やそうという動きが盛んになってきている中で、博士課程に進むメリットがそれなりに増えてきたように感じています。また、修士卒の場合、就職した後は学部卒とできることにあまり違いがないように思っているので、だったら、博士まで進学したほうがいいのでは、とも考えています。勿論、就職も悪くないとも思っているので、その時の縁と運と気持ちで決めます。
高校生・学部生へのメッセージ
松戸 私自身は中学、高校の頃から結構東北大のイベントに参加していて、その時に出会ったお兄さん・お姉さんに未来の自分もなれたらいいなと思っていました。それがまさに今日、自分が話す立場になってとても緊張しました。東北大の学生のうち、宮城県出身は1割程度と言われています。小さなコミュニティーではありますが、仙台・宮城の高校生の皆さんに地元にある素晴らしい大学のことをお伝えできたならとても嬉しいです。
学生自身にいろいろな選択を任されている環境はすごい恵まれています(吉田)

吉田 高専から東北大にきて感じたのは、何でも自由にやることができるし、その基礎も整っていること。学生自身にいろいろな選択を任されている環境はすごい恵まれているなと思うし、こうした場所は日本にも多分そこまで数はないだろうと思います。中学生、高校生で東北大を目指したいという人は、一生懸命目指して入学する価値は絶対ある場所です。
田中 自分が日頃そんなに意識せずにやっていることを、今回のように1度言葉にしてみると、「自分はこう思っていたんだな」と改めて確認できて、モチベーションがまた一つ上がった感じがします。金研や東北大に限らず、何かを調べる人、世界中で何かを発見する人が多くなることは、個人的にはすごく嬉しい、楽しいことなので、皆さんもぜひそういう風になっていただければいいなと思いますし、自分もその一人になれるように頑張ります。
―皆さん、色々な話をありがとうございました。
※本記事は、2023年10月に開催された「きんけん一般公開」でのトークイベントを元に編集したものです。
※所属、学年はインタビュー当時のものです。