学生によるインタビュー

社会で活躍する卒業生

06陣場 優貴 さん

金属材料研究所(金研)は、材料科学の基礎から応用にわたる教育活動を展開し、これまで多くの優秀な人材を輩出してきました。今回は金研のOB(2024年博士卒、笠田研究室)であり、現在Oak Ridge National Laboratoryでご活躍されている陣場優貴さんに笠田研究室の水野と上山がお話を伺いました。

 
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材料研究で切り拓く海外キャリア
金研から米国国立研究所へ

Chapter 1.
海外で研究するという働き方
現在の仕事内容を教えてください

米国のオークリッジ国立研究所(ORNL)で、炭化ケイ素(SiC)という材料が強い放射線環境にさらされたときに、内部構造や性質がどのように変化するのかを調べています。具体的には、材料の微細組織に及ぼす放射線の影響を顕微鏡観察や各種測定で捉え、その変化が材料の強度特性にどう影響するのかを分析します。得られた知見を論文としてまとめ、研究成果として発信することが日々の中心です。加えて、日米共同研究の枠組みでは、試料の取り扱い手順の確認や作業フローの調整など、実験が円滑に進むよう運用面のサポートにも関わっています。

海外でのキャリアを意識し始めたきっかけは何でしたか?

修士2年で博士課程に行くと決めた時に、ORNLにいた経験のある先生から「アメリカいいよ」と勧められたことで意識し始めました。英語が好きで、高専の時に国際交流活動も積極的にしていたのでもともと興味もありました。今のポストは実は博士1年のときにも声をかけてもらっていて、それがきっかけになっています。ORNLに行くかどうかは本当に迷いました。単純に日本を離れたくないという理由でしたが、後悔すると思ったのでチャンスを逃さないようにと決断しました。

修士修了後の進路について、就職か博士課程進学かで迷いはありましたか?
 

在学中、第140回金研講演会で最優秀ポスター賞を受賞。古原所長(当時)と

迷いはありました。もともと博士課程に進学するつもりだった一方で、周りが就職活動を進めているのを見て焦りもありました。ただ、研究室の環境がよく、先生方が学生をしっかり見てくれていたので、ここで博士を取りたい気持ちが強くなりました。経済面も不安でしたが、東北大学の支援制度で見通しが立つと分かり、決断しやすくなりました。

Chapter 2.
高専からまだ見ぬ材料研究への挑戦
高専から金研の笠田研究室を選んだ決め手は何でしたか?

高専からの就職率は高いため就職することも考えましたが、進学するなら「自分がまだ見たことのない世界を見たい」と思っていました。金研を選んだのは、最先端の材料研究を行っているためです。機械系出身で不安もありましたが、オープンキャンパスの時、食堂で一人研究室紹介のポスターを持って立っている笠田先生と話し、純粋にわくわくしたことが決め手でした。

学生時代の研究内容を教えてください
 

在学中、国際会議 ICACC(フロリダ)に参加した時の様子。近藤先生と

ホウ化チタン系材料の焼結プロセスに取り組みました。融点が高く硬い材料は、固めて緻密にするのが難しいという課題があります。そこで焼結助剤を使うことで、焼結性能を向上させました。粉末の評価から、できあがった材料の特性評価まで行い、より低い温度でも緻密化できることを示しました。

        
学生時代の研究で面白かったこと、今の研究の醍醐味を教えてください

学生時代は、焼結性能を向上させるために助剤を試行錯誤しながら添加するなど、未開拓な材料分野を自ら切り拓く点が面白かったです。現在は、先人が築いた知見に対して新たな解釈や発見を提示し、歴史ある研究分野に自身の成果を積み上げられる点に醍醐味を感じています。

Chapter 3.
今が大切 チャンスを掴むための準備
海外の研究所で働くことの魅力や、今後の展望について教えてください
 

渡米後にお迎えした愛ネコのてんてんちゃんと(左)。趣味の釣りで、渡米後にはじめて釣れた一匹

資金や人材が比較的潤沢で、成果を形にしやすい環境だと感じます。論文として発信しやすい場にいることで、若いうちに実績を積めるのは魅力です。今後は、さらに上を目指す道も、日本に戻って経験を活かす道も、状況を見ながら柔軟に考えています。

研究者として大切にしている価値観は何ですか

「今が大切」です。実験やデータ解釈は、その瞬間に感じた違和感や判断の根拠があとから薄れやすいので、記憶が新しいうちに整理して次につなげるようにしています。待ち時間も前提に計画して、複数の仕事を並行しながら、限られた時間の価値を最大化する意識が重要だと思っています。

最後に、進路に迷っている学生へメッセージをお願いします

好奇心や挑戦したい気持ちが勝つなら、研究者への道に一歩踏み出してみてもいいと思います。海外は生活面の不安もありますが、事前に調べて準備すれば何とかなることが多いです。大事なのは、チャンスが来たときに掴めるように、普段から研究に集中して、論文や学会発表で自分の強みを示しておくことだと思います。今が大切で、今日できるこを今日やる積み重ねが、次の機会につながっていきます。金研の恵まれた環境や支援を最大限に使って、次につながる成果と経験を積んでほしいです。

ありがとうございました。

MIZUNO

KAMIYAMA

2025年12月インタビュー 笠田研究室 (水野、上山)

Profile
Yuki JIMBA

Oak Ridge National Laboratory, Postdoctoral Research Associate

八戸工業高等専門学校専攻科卒業後、東北大学工学研究科量子エネルギー工学専攻博士課程前期入学同博士課程後期修了(2024年) 金属材料研究所 原子力材料工学研究部門(笠田研究室)

※所属はインタビュー当時のものです。

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